手術適応の重度の変形性股関節症の女性(その2)

前回のつづきです。それではどうぞ。

重度の変形性股関節症なら手術しかない?

果たしてそうでしょうか?

骨にはそもそも痛覚はありません。骨膜にはありますが。
骨頭には軟骨はあるが、骨膜はありません。軟骨自体は痛覚がありません。

ではどこで痛みを感じているのでしょうか?

股関節周囲の軟部組織です。関節包・靭帯・筋・筋膜などの軟部組織にあると考えられます。そして、痛みにより関節を動かさなくなることによる血流障害が、さらに痛みを増悪させていると思われます。

確かに、強直性に骨と骨がぶつかることにより極端に股関節の関節可動域が低下している場合は仕方ないでしょう。しかし、痛みを取り除いた状態で股関節の可動域がある程度保たれている場合なら、手術することなしに、当院の施術だけで痛みを和らげて普通に日常生活を送ることは可能です。

実際、この方の場合、左股関節が屈曲・内旋方向と外旋方向に極端な可動域制限がありましたが、X線画像を見る限り、臼蓋と骨頭の隙間はそれほど左右差はありません。しかし、右側は全く可動域制限はありませんでした。ここに私は引っかかりました。同じような変形なのに、どうして左右差があるのか?

実際の施術にて

実際施術を進めていきますと、背骨(特に第2頸椎)の歪みが確認されました。そして、左側の股関節周囲筋・靭帯の緊張が高いのも確認できました。それらを調整していくと、明らかに可動域は広がり、痛みもほとんど消失していました。

1週間後2回目の施術をしました。3日後くらいまでは非常に調子がよかったが、その後、徐々に元の状態に戻っていった感じがするとのこと。ただ、痛みはかなり楽(施術前の半分くらい)とのこと。

そこで確認をとってみますと、可動域は元の状態に戻っていました。そこで、また調整してみますと、やはり可動域は広がり、痛みは消えていました。今度は、日常生活でとってはならない姿勢などを指導しました。

その1週間後、3回目の施術をしました。可動域はやはり元に戻っていましたが、痛みはさらに楽になっているとのことでした。そこで、ある数か所の筋肉の筋緊張だけが異常に高く、施術によりその筋肉の緊張が緩むと、痛みが消失することから、今回の痛みの原因はその筋肉の緊張により何らかの神経圧迫があるのではという予測が立ちました。
そして、厄介なのは、その筋緊張を高めている原因が、姿勢だけの問題ではなく、むしろメンタル或いは脳の習慣の問題が大きいのではということでした。

私の見立て

私の予測ではこうです。

生まれながらの先天性股関節脱臼で、股関節の形状に問題がある。特に臼蓋が浅く、脱臼しやすい。そうなると、無意識に脱臼しまいと股関節周囲筋に力を入れる。これが常時になると、脳が無意識にコントロールし出し、緊張し続けるよう自分の顕在意識とは別に指令を出すようになる。

左右差が出ているのは、これまでに、何らかの原因で左側だけ脱臼することがあり、強烈な痛みのため、そのことが脳にインプットされてしまった。だから、無意識に左側だけ脱臼しまいと脳が指令を出すようになり、その状態が現在まで続いてしまっている。だから、一旦緩めても、すぐに元に戻そうとする。

このことを、ご本人に伝え、意識的に左側を緩めること、重心のかけ方など細かく注意点を指導しました。とにかく、潜在意識の説明を詳しくして、とことん腑に落としもらいました。

この方は心当たりがあるらしいことと、素直な性格であったことから、どんどん改善していきました。ただ、時折無理したり、仕事柄無理な姿勢(左側に重心をかけざるを得ない)をとることが多く、一進一退を繰り返しましたが。

その後の経過

現在、通院し出して1年半になりますが、施術開始10回目くらいからは2週に1回の頻度になり、15回目くらいで3週に1回の頻度になっています。無理して悪くなれば2週に1回、調子がいい時は3週に1回の頻度でというパターンを守られています。

東北まで旅行に出かけ被災地を歩き回ったり、冬の寒い京都を何時間も歩き回られても、その後しばらくは全く痛みが出ないと喜ばれています。以前は、少し無理をするとすぐに痛みが出ていました。

ただ、一度染みついた脱臼への恐怖心が潜在意識の奥底にあり、メンタルブロックはなかなか外れません。これさえ外れれば、戻りもなくなるのですがねぇ。


堺肩こり・腰痛センターでは、基本手技であるDRTにより自然治癒力を向上させますので、『つらい腰痛』や『股関節の痛み』に対して、より精度の高い施術が可能です。
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