痛過ぎて会社すら行けなかった重症腰痛(その2)

前回の続きです。信頼関係が崩れた好転反応の話が出てきます。それではどうぞ。

狭窄=痛みではない

なぜなら、狭窄=痛みとは限らないからです。

同じ狭窄があっても、骨の大きさにより、椎間孔や椎孔(神経の通り道)の大きさに違いがあり、圧迫の度合いが変わってしまうからです。痛みの原因が他にある可能性もあるのです。

お医者さんは、こういう考え方にはなりません。画像診断=絶対だからです。西洋医学的視点しかないので仕方がないですが。私も理学療法士として10年間病院勤務してきたので理解できます。私もその時代なら、間違いなくそう考えますから。

しかし、東洋医学的視点をもって勉強してみますと、人体とはそれほど単純ではないことが分かってきます。特に痛みというのは厄介で、いろんな要素が絡みあっています。目で見えない領域である脳やメンタルの影響も大きいのです。

以前のブログにも書きましたが、お医者さんの中にも、脳の影響が大きいことが注目され、その研究も進んできています。

私の見立て

話が脱線しましたので、話を戻します。

私の見立てでは、この方は以前から筋膜の癒着傾向が強く、筋膜性の痛みではないかということでした。非常に暑がりで、体を冷やしがちなので、血流が滞り、筋膜が癒着しやすいのです。私の見立て通りなら、十分痛みを根治することは可能だと判断しました。

実際の検査・施術にて

そこで、検査に入りました。やはり全身のあらゆるところに筋膜の癒着があり、軽く剥がすだけで、「痛い痛い」と大騒ぎでした。筋膜が癒着すると、血流が滞るため痛みに対して過敏になるのです。その他、日頃の姿勢の悪さのため、背骨の歪み(特に第2頸椎)も確認されました。

施術後の反応

初回施術後、痛みはかなり楽になったとのこと。笑顔で帰宅されました。
3日後に2回目施術時、確認をとると、痛みは取れたが何とも言えないダルさが右臀部に残っているとのこと。
これは好転反応と言い、一種の施術による身体の変化に対する反動です。普通は1~2日で消褪するものですが、この方の場合、結局5日かかりました。いかに全身状態が悪かったかということです。

想定外の好転反応による混乱

この好転反応のことで、その後の施術経過が二転三転しました。
これほど長い期間好転反応が続いたのには、私にも想定外で、患者さんが不信感を持たれても仕方ないですよね。

実際、この患者さんも驚かれ、心配になり、今度は整形外科に行かれたとのこと。そこで「ASO(閉塞性動脈硬化症)」の疑いありとのことで、市内の総合病院に紹介されたとのこと。

そこでの診断では、それほど重大な閉塞はないとのことでしたが、2月1日に入院してカテーテル治療をすることになったとの連絡が入りました。それで当院の施術をしばらく休まなくてはならないとのことでした。

ちょって待って!というのが私の意見でした。医師の診断に口を挟むのは御法度です。が、どう考えても今回の痛みの原因は、それではないだろというのが実感です。そもそも、間欠性跛行はないし、下肢全体の痛み・痺れはないからです。ダルいのは右臀部ですから。

私は、慌てて、それは考えにくいと伝えました。私が口を挟めることではないことを伝えた上で、セカンドオピニオンを受けた方がいいことを伝えました。

セカンドオピニオンにて

それで、近所の循環器内科に行かれたところ、そこでの診断はASOではないとのことでした。鑑別診断のため足背動脈を蝕知できるかの確認をするのですが、全く問題なく蝕知できたとのこと。

それで、慌ててカテーテル治療をキャンセルしたとのこと。そして、程なくして右臀部のダルさが消えたので、施術を再開したいとの連絡がありました。

それをきっかけに、どんどんよくなり、4回目の施術時には座位時の痛み・ダルさは全くなくなり、仕事を再開されました。その時は、立位・歩行時に痛みが徐々に出てくるようでした。5回目には、立位・歩行時の痛みも、気にならなくりました。6回目が終了した現在、全く痛みのなかった状態に戻ったと、喜ばれています。

まとめ

今回、特に気をつけなければならないのは、信頼関係だと改めて気づかされました。好転反応の予想外の長期化で、信頼がぐらつき、ダルさが激減したことにより信頼を再び取り戻してからは、どんどんよくなっていきましたから。好転反応の説明は特に丁寧しなければと自省しました。


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