メディアのウソ

「先生、昨日TVでやっていた健康番組のゴッドハンドと言われる先生の言う通り運動したら、せっかく治ってた腰がまた痛くなった。」

 

最近、こういう患者さんの訴えをよく耳にする。

こちらとしたら、「またか。」という思い。

この言葉の中に、昨今のマスコミの問題点が浮かび上がってくると思われるので、分解して考察してみようと思う。

最近、健康に関する番組がやたらと多い。

「健康」と銘打てば、視聴者が飛びつくからであろう。

ここで、視聴者がよく理解しておかなければならないのは、TV番組の発言を100%鵜呑みにしてはならないということ。

制作者サイドは、スポンサーが第一であり視聴率が大事であって視聴者のことは二の次である。

よりセンセーショナルで視聴者を惹きつけられればそれでよい。

詳しい説明は端折り、できるだけワンセンテンスで言い切り調にしたい。

台本もそれに即してできているのだろう。

例えば、腰痛に効果のある運動や体操があったとする。

その運動や体操がどの腰痛に効果あるのかが全く説明されていない。

腰痛と言っても、千差万別であり、どういった動作で痛みが増悪するのか緩和されるのかは、その腰痛の種類によっては大きく変わってしまう。

第一、どんな人に適応なのか適応外なのか、事前にしっかり説明しておかなければ、その各々の腰痛が増悪してしまうことの方が圧倒的に多いはずである。

しかし である。

先ほど述べたように、制作者サイドは端折りたいのである。

言いきってしまうとよりインパクトがあるからだ。

で、申し訳程度に画面の端に、効果の程度は個人差ありとか痛みが出る場合は止めましょうとか、小さくテロップが出る程度で誤魔化してしまう。

しかし、一般視聴者がそんなことまで理解してるはずもなく、ガンガンにやってしまう。

はい、腰痛の出来上がり(笑)

人によっては、股関節痛・膝関節痛も生じてしまっている。

 

さらに問題なのは、制作者サイドが医療分野についてあまりに無知だということ。

結構、テロップの説明の中に、頭を傾げたくなるようなものが多い。

 

「ゴッドハンド」と呼ばれている方々の人選にも甚だ疑問だ。

そもそもゴッドハンドなんて本当にいるのか?

「神の手」ですよ(笑)

ちらほら聞く噂話では、中にはコンサルが仲介していて、むしろゴッドハンド側から出演依頼があるとかなんとか…。

 

この前見た「腰痛」のゴッドハンドの院では予約で4年待ちだそうだ。

ここの患者さんは素晴らしい。

今痛いはずの腰痛治療を4年も待ち続けるのだから(笑)

 

堺肩こり・腰痛センター